interview

溢れんばかりのウルトラ愛

―そこから強引に『激伝』に話を繋げると、やっぱりちゃんと今の子供にも読んでもらいたいと思ってるんですよね。

山崎:編集部としては、ただの懐かしコンテンツでは終わらせたくないでしょうね。『ウルトラマンギンガ』であったり、『ウルトラマンメビウス』であったりからウルトラから入った子供たちが、『激伝』を読んでどう思うのかは、僕も気になるところです。

出口:かつての僕らと同じくらいの年齢の子供にも読んで欲しいですね。たまにいるじゃないですか。家電量販店のオモチャ売り場に行くと、異常に怪獣に詳しいチビッコ。ず~っとソフビを握りしめながら、父ちゃんにあーだこーだと説明してたりしてて、なんとなくデジャブを感じたりするんだけど(笑)、そういう子供たちのためのマンガであって欲しいなぁ。外野の僕らオッサンは、どんなものが来ても、やいのやいの言いながら、それを肴に楽しく酒を飲むだけなので。変な話、これまでウルトラシリーズを観たことなくて、今度の『激伝』から入ったっていう子がいてもいいと思うんですよ。『激伝』って、意外とシリーズの入門編にも向いてるはず。

山崎:あと、捻くれたマニア候補生のガキの魂の救済にも繋がるかもしれない。僕ね、正直な話をすると、『ウルトラマンメビウス』があまり好きじゃないんです。CREW GUYSの部活感とか、旧作に対するアプローチとか、いちいち自分の肌に合わなかったんですよ。でも今回、銀河最強武道会の隅っこで、わーわー騒いでるGUYSの面々を見てたら吹き出しちゃって。そのとき、『メビウス』に対するわだかまりみたいなものが、すーっと消えていく感じがしたんです。昔、『激伝』にパワードが出てきたときもそうだったんだよな。『ウルトラマンパワード』って観てました?

出口:近所のビデオ屋が仕入れてくれてなくて、当時は観てなかった。児童誌を通じて、どんなものかは知ってましたけどね。

山崎:それ、一番幸せな『パワード』との接し方じゃないですか(笑)。スチル写真を見るぶんには、あんなにカッコいいウルトラもないでしょ! でも実際には、本当にもっさりしたアクションで、子供心にどう受け取ったらいいのかわからないシロモノで。

出口:『激伝』でも、そのまま再現されてましたよね。エースから「脱力するようなトロい動き」って呆れられて(笑)。

山崎:でも無駄な力をまったく使わず、相手に攻撃がヒットした瞬間、超エネルギーを押し当てる格闘術っていう設定なんですよね。これには参った(笑)。この動きもまた、パワードの個性なんだと教えられた気がして、『パワード』という番組そのものを許せるようになったというか、もっと好きになれたというか。作者の溢れんばかりのウルトラ愛で、ひねた心が浄化されるの。この感覚は是非、今のチビッコにも味わって欲しいな。

出口:ホント、ウルトラ愛に満ちたマンガですよね。ちょっとしたモブシーンでも、キャラクターのチョイスだったり、会話の内容だったりに、かなり細かくマニアックなネタが仕込まれてるじゃないですか。たとえば、第三回銀河最強武道会に出場するため、タロウが船に乗って帰ってくるシーンにしても、船の乗組員がどれも海の怪獣だったり、そもそも船に乗ってくるというシチュエーション自体が、『ウルトラマンタロウ』の第1話に韻を踏んだものだったり。別に知らなくても読み進められるんだけど、わかってる人が押し付けがましくウンチクを垂れたくなる作品なんですよね(笑)。今回の新作にしても、まぁ喋りたくなる! これからどうなっていくんですかね。

山崎:エンペラ星人との戦いのあと、どんなことがあったのかも気になりますよね。ダークベンゼン軍との戦いとか、結局どうなったんだろう。

出口:勝手にお話を作りたくなっちゃいますよね。両先生に、自分の考えたヒーローを提案したりもしたい。

山崎:勝手に装鉄鋼(メタルブレスト)を着せてね。『ロックマン』や『キン肉マン』よろしく、昔みたいにそういうファン参加企画があっても面白いかもしれない。

出口:いろんな闘士がいてもいいわけですからね。描きたいですよね。ねぇ?(笑)

―た、確かに面白そうですね。検討します……。ところで、誰を闘士(ファイター)にしたいとかありますか?

出口:う~ん。いざそう言われると難しいなぁ。

山崎:今までもいっぱい出てきましたからね……死んだはずのガルタン大王の息子とかどうかなぁ。プリンス・ガルタン(笑)。いわゆる強豪宇宙人って、これまで咬ませ犬っぽく扱われがちだったから。

出口:いいですねぇ。じゃあ、僕は闘士ズラスイマーで!

―何故、どっちも80怪獣なんですか!(一同笑)

山崎:あっ、公募繋がり? ズラスイマーは、番組内で募った「あなたの考えた怪獣の絵」最優秀作を元にした怪獣なんです。

出口:あれを描いた子、僕の札幌時代の先輩なんですよ。今、ライブハウスでブッキングの仕事をしてる新保知建というバンドマンがいるんですけどね、彼が中学生くらいのときに描いたのがズラスイマーなんです。

山崎:エーッ! 写真を見てもらうとわかるけど、アストロモンス系の強そうな怪獣をベースに、ヘビだのムカデだの翼だの盛り込みまくった、かなり大人げないデザインなんですよ。中学生だったら、もうちょっとカッコつけた怪獣を描きそうなもんなのに(笑)。

出口:当時、そろそろ怪獣も卒業しようと、一区切りつけるために描いて送ったんですって。ズラスイマーのスイマーは、水魔から来てて、本当は海の怪獣のつもりだったらしいんだけど、何故か映像では地底怪獣になっていたという(笑)。

山崎:しかも、観音様にやられちゃうからね。

出口:なんかね、いまいちカッコよくないんですよね(笑)。でも、どうにかそこもフックアップじゃないですけど、もう一度日の目を見る機会を与えてあげたいんです。

山崎:ガイロス……は、もうガシャポンになってたけど、テペトとかレオゴンみたいな水棲の公募系怪獣とユニットを組ませるとか。

出口:また微妙な面子ですね(笑)。でもいいな、夢が拡がるなぁ。

山崎:ところで結局、その方は怪獣卒業できたんですか?

出口:ズラスイマーのあと、特撮から離れて、音楽の道に進んでいったはずんですけど……まだ明らかにこっち側ですね。卒業できてないです(一同笑)。

山崎:怪獣好きは不治の病ってことですかね(笑)。

MONOBRIGHT ライブ情報


			(1)MONOBRIGHTワンマン2DAYS「CLUB Que 20th記念 2DAYS series『OPERATION Que HATACHI』」
			■日時 9月9日(火)、10日(水)東京・下北沢CLUB QUE
			03-3412-9979(CLUB QUE)
			OPEN 18:30 / START 19:00(2公演共通)
			■チケット 前売:3,300円 / 当日:3,800円 / 通し:6,000円 好評発売中

			(2)MONOBRIGHT×BAND A TWO MAN TOUR2014『M.B.A.~メチャ・バンド・アツイ~』
			■日時
			9月25日(木)名古屋CLUB UPSET
			INFO:052-936-6041(JAIL HOUSE)
			9月26日(金)大阪LIVE SQUARE 2nd LINE
			INFO:06-6357-3666(清水音泉)
			9月30日(火)東京LIVE HOUSE FEVER
			INFO:03-3770-6900(VINTAGE ROCK)
			OPEN 18:30 / START 19:00(全公演共通)
			■チケット
			前売:3,300円 / 当日3,800円
			一般発売:8月24日(日)

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